現役便利屋が語る「便利屋あれやこれや」シリーズ。便利屋をしていると、夜遅くに急な依頼が入ってくることもしばしば。いますぐに、あるいは朝までに何とかしなければならない刹那の作業です。
刹那さん
酒好きの人には便利屋はむいていないです。。。
というのは「夜遅くの刹那の依頼」がいつ飛び込んでくるか分からないからです。
その、夜遅くの刹那の依頼で多いのが「一人引越し」。
目算あやまりです。
朝からひとりで引越しをはじめて、何とか夕方には終わるだろうと思っていたところ、夕方になってもまだ半分ぐらいしか荷物を運んでいない、そんなケース。
「今からすぐに来てもらえませんか?」
と疲れきった声で夕方にかかってきたらまず、このケース。
「今日中に終わらせたいんです」
こっちは一日の仕事が終わって家でいっぱいやりかけたところ。
慌てて出動です。
「ゆっくり明日もやればいいじゃないですか」
「いえ、今日中に鍵を返さないといけないんです」
「そりゃえらいこった。もう一人呼びますね」
「お願いします」
と、ぺこりと頭をさげるくせに、こう言う人に限って手伝わないんです。(笑)
続いて多いのは「アクシデント」
まあ、本当に世の中、何が起こるかわからない。
「ドアが開かない、助けてくれー」(これもホントです)
強風で玄関のドアが閉まりかけた瞬間、うまい具合に飛んできたゴミがドアの隙間に挟まって、うんともすんとも動かない。
朝から必死で開けようとしているが、もう夕方。
家を出られないから、メシも喰っていない。
そんな悲壮な電話です。
こうなると、便利屋と言うよりレスキュー隊
様々な道具をトラックに積込んで現場に到着。
「こっちだこっちだ、たすけてくれー」
キッチンの小さな窓から格子を握ったおじさんが叫んでいました。
確かに奇跡的と言うか、ドアにゴム状の物がピッタリとはさまってビクともしません。
「どうでしょうか?開きますか?」
と、キッチンの窓の格子を握って叫ぶおじさん。
「もうちょっとガマンしてください」
と、そのおじさんに叫び返す僕。
結局、ドアを傷つけないように毛布で回りを養生して一番大きいバールで「せーの」。
無事、ドアが開いておじさん救出。
おじさん、僕に
「ありがとうな、ありがとうな」
と抱きつきます。
そりゃあそうです。万が一、地震でも起きたら逃げられなかったのですから。
便利屋人命救助編でありました。